デイリースポーツ記事より一問一答
羽生結弦公開練習 フリーはプルシェンコの伝説曲「スケートに没頭した始まり」【一問一答1】
今年2月の平昌五輪でフィギュアスケート男子66年ぶりの連覇を達成した羽生結弦(23)=ANA=が日本時間31日、練習拠点のカナダ、トロントで練習を公開し、今季のプログラムを発表した。フリーは「Origin」、SPは「秋によせて」。幼少期からの憧れの存在だった06年トリノ五輪金メダリストのエフゲニー・プルシェンコ(ロシア)、元全米王者のジョニー・ウィアー(米国)の代表曲で、自らの「原点」を表現する。また、フリーではまだ成功例のないクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に、今季中に挑戦する意向を明かした。
羽生との一問一答1は次のとおり。
※現地時間正午前に会場入り
「今日はよろしくお願いします」
※リンク脇のベンチでスケート靴を履きながら、多数のカメラに囲まれ
「すごい。何枚撮られてるんだろう。そんなにシャッタースピード速くなくて、大丈夫じゃないですか(笑)」
※約1時間の練習後、報道陣の取材に対応
-先ほど披露したフリーの曲名と振り付け、テーマは?
「えーと、どこから言えばいいんだろう。今季のフリーはシェイリーン・ボーンさんに振り付けしてもらったものです。えっと、えっと。どこからいえばいいんだ。曲はアート・オン・アイス。エドウィン・マートンさんのアート・オン・アイスです。少しもう1つ曲を使っていて、アレンジもしている。陰陽師をやって、SEIMEIってつけたように、今回のプログラム名としては、Originっていうタイトルをつけさせてもらいました」
-タイトルの意味は
「英語でOriginなんですけど、自分の中では起源とか始まりという意味を1番もたせたかった。まず、この曲自体が自分が、ある意味スケートに没頭した始まり。自分がこれから挑戦したいアクセルだったり、スケートを楽しむこと自体だったりを感じながら、このプログラムを滑りたいと思っている。自分のスケート人生の始まりというか起源というか、なんか根源的なものをかんじながら滑りたいと思います」
-プルシェンコさんも滑っていた
「やはりプルシェンコさんが滑っていた印象がすごく強くて、彼の代表曲というか彼を代表するプログラムの1つなので、そういう意味では使わせてもらうのも、さすがに気持ちが恐縮するような感じもあったんですけど、実際に(4月の)アイスショーの時にすでにこの曲を使わせていただきますと、プルシェンコさんにお伝えして、それで許可をもらえた。“ぜひ頑張ってね”というお言葉もいただけたので、彼の『ニジンスキーに捧ぐ』という素晴らしいプログラムは、やっぱりずっと消えないと思いますし、僕の中でもすごく大切なプログラム。それとは別に自分の中で完成させることができたらなと思います」
-4Aは入れる?
「えっとまだ入れる予定はないです。でも練習はしてます。まだかなり練習しないといけないかなと思ってます」
羽生結弦公開練習 これからは「自分のために滑っていいのかな」【一問一答2】
羽生との一問一答2は次のとおり。
-今季の目標は。
「自分自身、先シーズンの終わりからずっと言っているように、結果としてはすごく満足してますし、達成感もあります。ただ、こうやって練習している中で自分の未熟さだったり、またアイスショーを通してまだ磨くべきところ、成長すべきところ、自分の伸びしろだったりをすごく感じながら滑っている。一つ一つ丁寧に確実に成長していけたら」
-テーマを起源としたのは?
「うーんと、すごくはっきり言ってしまうと、自分の中で今まで自分のスケートをしなくちゃいけない、期待に応えないといけない、結果をとらないといけないっていうようなそういうプレッシャーがすごくあったのが、今は外れていて、もうこれからは本当に自分のために滑っていいのかなと。本当に自分がスケートを始めたきっかけは、やっぱり楽しかったからであって、スケートを滑っていて、自分の夢を追いかけて、その過程が楽しかったからであって、本当に自分が楽しかった気持ちとか、自分が今まで歩んできた本当に大変だった道のりを思い返して、なんかその自分に対して、恩返しというか、なんか、うーんと、その自分が報われるようなことをしてあげたいなという気持ちもあって、この2つの曲にしました」
-曲の印象。
「やはりあの頃の自分はプルシェンコさんや、ジョニー・ウィアーさんの演技をみて、やっぱりこの曲使いたいなと思いながら滑ってましたし、またこの曲を聴きながら、真似したり楽しんでた自分がいたので、そういう意味でやっぱりこの曲を使って、自分のプログラムとしてやったら、すごく楽しいだろうなって思いましたし、そういう意味でも自分が本当に初心に帰ってスケートを楽しんで、スケート自体を自分のためにやるってことを感じながら滑れるかなと」
-現在の課題。
「取りあえずまだ完全にジャンプが戻っているわけではないので、しっかりとジャンプを自分の納得できる形にもっていくことが1番大事かな。やはりジャンプが決まってすべてがちゃんとそろっている状態でないとプログラムが完成とはいえないので。まずはしっかりジャンプを決めること、そのジャンプをしっかり決めるためにスケーティングをどういうふうにきれいにやっていくか、または呼吸の仕方だったり、まだまだ滑り込めていない部分が多々あるので、しっかりと滑り込みだったり、本当に1つ1つ徐々にやっていくしかないかな」
-けがの状況、あと4回転ジャンプはどこまで戻ってる?
「取りあえずルッツ、フリップ以外の今まで跳べていたジャンプ、4回転トーループとサルコー、ループまでは現状戻ってきたかなという感覚はあります。ルッツに関してはまだ不安のある状態ではあるので、まだしばらくやめておこうかなと思ってます。ただ、感覚としてはやればできるかなという感覚はある。足のけがを再発させないように、炎症を起こさないように、しばらく4回転ルッツは抑えておこうかなと思う。けがの状況はおかげさまで、本当に安定してきていて、もちろん先ほど言ったようにルッツやフリップなどでトーを突いた時に、違和感を感じることはあるんですけど、痛みとして知覚することはほぼなくなってきているので、しっかりとケアしながら、自分でコントロールしながら今季やっていきたい」
羽生結弦公開練習 今季中に4A挑戦へ「やっぱりアクセルって好きだな」【一問一答3】
羽生との一問一答3は次のとおり。
-五輪連覇を成し遂げて、今、モチベーションになっていることは?
「まあアクセルですね。やっぱりアクセルが1番の僕のモチベーションではあります。ただ、今練習はしているんですけど、毎日はできなくて、体の状態とか、足首の不安はそんなにないんですけど、衝撃はやっぱりものすごく大きなジャンプなので体調をみながらやっています。やっぱり難しいなって思いながら」
(続けて)
「ただ、やってみてすごく思うのは、やっぱりアクセルって好きだなと。楽しいですね、やってて。まだ跳べてないですけど、跳べるまでの過程だとか、そういったものも1つ1つ楽しみながら、すごく頭を使いながら練習してます」
-跳びたい時期、メドは設定してる?
「いや~跳べるんだったら、ここまでに跳んでおきたかったんですけど。今日までに跳んでおきたかったんですけど、まだ難しくて、できないところもあって。ただ、まあ先ほどテレビのインタビューでも言ったように、ループまでは、だいぶ五輪の時よりはうまくなったなと自分では思っているので、ちょっとずつ体を戻しつつ、アクセルにもその動きだったり、筋力的なものであったりとか、そういう1つ1つの強さだったり、そういうものがつながっていけばいいなと思ってます」
-今季中の挑戦もある?
「今季でやっておきたいとは自分の中では思っていて、そういう意味でも『Origin』ってつけたところはある。やっぱり自分の根源にあるのは、小学校低学年の時に、本当に1時間の練習中45分はアクセルしかやってなかったので、そのアクセルへの思いとか、アクセルの難しさを感じながら、下りた時の達成感とか、そういったものがスケートを好きにさせてくれた大きな要因だったので。アクセルを大事にしたプログラムになっているのかなと思う。なのでできれば、今シーズンやるつもりです」
-入れるならフリーの冒頭?
「そうですね。最初のループのところに入れます」
-どれぐらい練習はしてる?
「本数は制限してないです。ただ、先ほど言ったように毎日はできないので、あの~やはり筋肉的な負担も掛かりますし、しっかりと1番効率のいいところ、筋肉が疲労しすぎず、ただ、その筋肉がちゃんと回復して、技術的にも向上できるようなタイミングで、計算しながら練習はしてます」
羽生結弦公開練習 新ルールでの戦い「あとはもう若い世代が。自分は自分で楽しみながら」【一問一答4】
羽生との一問一答4は次のとおり。
-新ルールとなり、得点がリセットされるが、記録と呼ばれる得点は狙っていきたい?
「特にはないです。もうあの、自分としては(昨季までの採点で)あの3つのプログラム、SEIMEI、バラード第1番、そしてホープ&レガシーが、記録(歴代最高得点)として残ったのはすごく、正直いってビックリしましたし、あとはもう正直いって、すごく嬉しいなっていう気持ちもあった。あとはもう若い世代が、若いっていっても自分と3つぐらいしか違わないけど、その世代が新しいルールになって、どういう風に戦っていくのかもある意味楽しみではあります。まあ自分は自分で、もうあの(自分が持っていた)記録たちとは戦えないですけど、ただ、自分は自分で楽しみながらやりたいなと思います」
-オーサーコーチは新ルールは、羽生選手にいいんじゃないかと言っていたが。
「僕は特に、う~ん、ルールに関して有利とか不利とか、感じたことはないですね。とにかくルールっていうのは、それに則って勝ち負けが決まって、それに則って、ある意味それが基準になって、自分たちがうまくなったりしていかなきゃいけない指標みたいなものなので。別にルールがどうのこうのよりも自分がその指標に合わせて、基準に合わせて強くなっていければいいかなと思います」
(続けて)
「ただ、1つだけ言わせてもらうと、僕ら4分半が4分に変わったというのは、たぶん見た感じ、4分になって楽になったんじゃないか、ジャンプが1個減ったしと思われるかもしれないですけど、実は4分の方がキツいというのは最近感じてます。忙しいんですよ、ジャンプ1本なくなって、ジャンプは1本20秒ぐらい使うか使わないかぐらいで跳べますし、トリプルなら僕たちは助走含めてランディングまで10秒ぐらいでとべるので、そうすると20秒削られることになる。なのでその分忙しくはなりますし、いろいろ勉強しながら、研究しながらプログラムを作らないとなと思ってました」
羽生結弦公開練習 競技人生の終盤?「ありますね。それはあります」【一問一答5】
羽生との一問一答5は次のとおり。
-昨季までは勝負にこだわってやってたけど、今取り組んでいて新しい発見はある?
「まあでもその勝負、結果にこだわってきたのは、それがある意味、夢だったからっていうのがあって、今はまた違った夢を追いかけている状態なので、またなんかある意味そんなに気持ちは変わってないというのが本音です」
(続けて)
「ただ、その結果に向かって楽しむか、自分の夢である4回転アクセルに向かって楽しんでるかの違いかな。どっちにしろ期限までに跳ばないといけないというプレッシャーは感じてますし、あの頃はこの試合で勝たないといけないという緊張感、プレッシャーを感じながら毎日練習していたので、そのプレッシャーの大きさがちょっと変わったかなぐらいですね」
-「期限」とか、「あとは若い世代が」という言葉があるが、自身が競技者として終盤に差し掛かってるという感覚がある?
「ありますね。それはあります。ただ、いつ辞めるとかそういう風なことは全然考えてない。まあ取りあえず今はアクセル跳びたいという気持ちが非常に強く、取りあえずアクセルまではなんとかしたいなってとは思ってます」
-アクセルを跳んでしまったら?
「それはもう跳んでみないと分からないかな。とにかくまずは練習でしっかり降りること。自分の中での降りたという前提がやっぱりGOEで加点をもらえるぐらいのものではないといけないですし、最終的に色んな方々が見て、“いやこれ回転不足だろ”って後ろ指指されるようなジャンプでは絶対いけないと思うので、自分が目指す最高のアクセルを目指して、練習したいなと思います」
※一連の取材が終了。再び報道陣の前に姿を見せ。
「今日はありがとうございました。(立ち上がろうとする報道陣を制し)あっ、立たなくて大丈夫です。みなさんお仕事なので。またよろしくお願いします」
NHKwebニュース(動画)
『Origin』という言葉
起源という意味ですが、この言葉を聞いたときに真っ先に浮かんだのは
神坂智子氏の漫画
『シルクロードシリーズ』にでてくるテングリたちの長・オリジン(起源=織仁)でした。
大好きな漫画のシリーズのひとつで、もちろん持ってます。(どんだけ、漫画持ってるんだ??というツッコミはなしで・・・( ^ω^)・・・)